*懇親会は、新型コロナ感染症のため実施いたしません。
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、社会・経済を混乱に陥れています。コロナショックで改めて認識されたのは、不測の事態のなかで正確な情報を伝え、人々の不安を解消することの重要性です。情報公開の遅れや意思決定の不透明性が、情報の送り手である行政や専門家の信頼を大いに損なうことになることは、過去の災害などで何度も経験されてきたことです。不確実な世界では、送り手も的確な情報を持っておらず、それゆえにリスク・コミュニケーションのあり方が問われてきました、残念ながら、今回のコロナショックにおいても、その教訓が十分に活かされたとは言えないようです。
また、疫病の蔓延や災害の発生時には、必ずと言ってよいほど、科学的根拠のない情報やデマがインターネットやSNSを通じて拡散します。コロナショックの最中、「information」と「epidemic / pandemic」を掛け合わせた「インフォデミック」という造語が使われたことは、こうした現象を象徴していると思われます。実際に、WHOは、公衆衛生上の危機とともに、不正確な情報の氾濫の危機(インフォデミック)にも対処するために、噂やデマを信じないように公式サイトで呼びかける事態となりました。
さらに、医療従事者に対する誹謗・中傷も大きな社会問題として注目されました。ソーシャルメディアの普及により、ネガティブな情報は瞬時に拡散してしまいます。災害時には必ずと言っていいほど、ネット上の差別的発言や偏見やSNS上の炎上が発生します。これらの問題とリスク・コミュニケーションとは、底辺では繋がっているように考えられます。目に見えないウイルスという敵、未知のコントロール不可能な事象との闘いの中で、不確実な情報がやり場のない怒りや不安を増長してしまうからなのです。
コロナショックを経験し、リスク・コミュニケーションの方法、不確実な情報の氾濫、SNS上でのコミュニケーションなどの諸問題は、情報経営においても極めて重大な課題であると思われます。こうしたことから、今回の全国大会は、「情報経営におけるリスクとコミュニケーション」を統一論題のテーマとして設定した次第です。会員各位による活発な議論と実りある知的交流を期待しております。